アングレーム国際漫画祭での慰安婦漫画を比べてみると

 

韓国作家の出展作品

 

김광성 작가 “팩트 바탕한 스토리로 일본군위안부 고통 세계에 알릴 것” : 뉴스 : 동아닷컴

 

日本の「論破プロジェクト」が出展するはずだった作品

3 mangas sauvés de Voldemort 拡散どうぞ - J'adore le Japon et la France

 

双方の慰安婦問題についての主張の是非を抜きにして言わせてもらうと、韓国の方はきちんと主人公をたてた漫画になっており、漫画としての見せ方を心得たコマ割りをしている。絵柄も印象的。ようするにちゃんとした作家の作品として読めそうだ。残念ながら韓国語は読めないが。

それに対して日本の方はただただ「韓国の主張に反論する」ことに終始していて漫画作品として見られたものではない。もちろん「論破プロジェクト」はそういう事をするために発足した組織なのだけど、それにしても伝統ある国際漫画祭に漫画作品として出展するのに、これはないんじゃないか?

 

まあ、日本のマンガ文化はとても広いので、基本登場人物が読者に向かって知識を話してるだけの作品も漫画作品と数えられるのだけど、普通学習まんがとかでももうちょっとキャラクターの掛け合いとか、物語の展開が入るものではないかなあ。

 

追記(2014/2/3)

上で挙げた日本の作品は、3Dモデルを配置して漫画を作成するソフト「コミPo!」で描かれているのですが、「コミPo!」自体を否定するつもりはありません。たとえば歌が苦手な人がボーカロイドで楽曲を作ったりするのと同様、絵を描くのが苦手な人がコミPo!で漫画を描くということ自体はありだと思います。ただし、人物の絵を描くこと以外に構図とかコマ割りとか、「鑑賞に耐える漫画になる」ためには必要な技術がいろいろあって、安易にソフトを使えば誰でもちゃんとした漫画が作成できるわけではなく、上で挙げた作品は安易に道具を使って仕上げたダメなシロモノだという話です。

個人的には、コミPo!で描かれた作品でも、きちんと構成されて、画面的にもうまく個性を出せれば漫画祭などに出展して恥ずかしくない作品はありうると思います(将来的には)。

 

最初に主張の是非は置くとしたように、この記事ではあくまで漫画作品としての完成度という点だけを取り上げました。この問題の政治性や、ソフトの功罪といった問題はまた別ですね。