赤飯と甘納豆と食紅
赤飯は、米(もち米)と小豆を一緒に炊くことで小豆から色素が出るため、赤くなるものだけど、もともとは古代米の赤米を使っていたのではないかという話がある。インディカ種の赤米が日本ですたれ、米に赤みをつけるために小豆を入れたらしい。
という大昔の話はさておき、現代の北海道などでは、赤飯に入れるのは甘納豆であり、あれは炊いてもあんまし色は出ないので、食紅で赤く染める文化がある。これ、うちの田舎の岩手県でも昔そうだったんだよね。いつからそうだったのかは知らないのだけど、昭和39年生まれの僕が記憶してる限り赤飯って、甘納豆が入った赤いご飯で、家庭でも食紅を入れていた。1970年代に食紅が体に悪いという話が広まって、タコさんウィンナーに使われる赤いウインナーも一時消滅したことがある。その時期の我が家でも赤飯を炊くときに食紅をやめたので、その時期赤飯が全く赤くない。白いご飯に、甘納豆の周囲だけちょっと茶色いという「赤飯?」が作られるようになった。「ええ~赤くないお赤飯なんて」とたいそうがっかりしたものである。なお、その当時も地元ローカルでない、仕出し屋がケータリングで出す赤飯は小豆で炊いた全国的に普通な赤飯であり、そういうものも知っていたのだけど、甘くもなく小さくて、粉っぽい味のない小豆が、一体全体なんでご飯に入ってるのか。クソまずいゴミがご飯に混じってるとしか感じられなかった。僕にとって赤飯の豆とは、甘くネットリした大ぶりの甘納豆なんで、なんなら偏食の多かった幼少期の僕は甘納豆だけ赤飯から集めて食ってたくらいの勢いだったのだ。赤飯に入れた甘納豆は、水分を吸って膨らみ、菓子としての甘納豆とはまた違う、ふっくら甘い極上のスイーツになっていたのである。みなさんもぜひ、生小豆ではなく、甘納豆を入れて、食紅で染めた赤飯を一度食べてほしい。現代の食紅はカイガラムシのコチニール色素やパプリカ色素を使ってるので安心だ。
最後にもう一度いうが、全国的に普通な小豆の赤飯。なんであんな粉っぽくて味のないゴミみたいな豆を入れるのか。全国で赤飯に甘納豆を入れよう。あれすごく美味しいから。