「日本は中国を侵略した」→「中華人民共和国の成立は戦後です」という反論
このブログの記事としてはめずらしくコメントがついた
この記事なんだけどコメント欄がちょっと議論になっていて、
という流れになってたのだけど、
一体なぜ「中華人民共和国の建国は戦後」というのが日本の中国侵略への反論になるのかさっぱりわからない。実際はコメント中で書いた閣議決定以前からいわゆる現在中国と呼ばれている地域を「中国」と呼ぶ用法はあったし、それ以前に現代人が「日本がかつて中国を侵略した」という文脈で「中国」というとき、地理的な記号として使用しており、その国を支配している政府の違いを問題にしているわけではない。侵略について語る時、普通はその土地と、住民の被害に着目しているはずだ。土地は移動しないし、住民も中華民国時代の住民はその多くが大陸に残ったはずであって、「政体が変わったから別だ」となるはずもない。
なにより、1930年に日本政府も当時のあの地域にあった国を「中国」と呼称すると言っている(実際には「支那」の方が多かったと思うが、たとえば大東亜会議に汪兆銘を呼んだりするときには中華民国、中国、と言っていたはずだ)
また、「中国侵略」が「中華人民共和国以前だから」妄想だと主張してたのに、「当時の中華民国も中国だ」と反論したら「中華民国は侵略国家」と返すのはまるで意味が通らない。なにが言いたいんだろう。
そういえば以前カイカイ反応通信だったかほかのまとめサイトだか忘れたけど、併合前の韓国について韓国人が語ってるものに、「韓国は戦後だよ」とバカにしたコメントをつけている人がいたけど、朝鮮は日清戦争後独立して、朝鮮の高宗が皇帝に即位し、短い間だけど大韓帝国という国号を使っていた。これを「韓国」と呼称していたのは以前紹介した日本の本「渡韓のすすめ」などからもあきらかだ。外交や軍事の権限を日本に握られ保護国にされ、まもなく併合されるのだけどそういう国は確かに存在したのだ。知らなかったのか失念していたのかはしらないが、それはそれで恥ずかしい。
どうも最近中国や韓国に対しては「歴史がない」という見方をする人が増えてるような気がする。もちろんそれは「中国五千年」(神話的な黄帝から数えて)や「韓国半万年」(神話的な壇君から数えて)みたいなものに対して茶化している部分もあると思うのだが、それを言ったら日本も敗戦までは神話的な神武天皇から数えて2600年とか言ってたわけで、近代の国号や政治体制の変化をもって歴史を否定するような事をしてはよろしくないと思う。
日本が現在の中国のあたりをかつて「中国」ではなく主に「支那」と呼んでいた事は、まあ、清が崩壊して中華民国ができても軍閥にわかれてるし、どこを代表にしたらいいかわからない、むしろ日本に都合のいい政府を公認したらみたいな当時のごちゃごちゃがあったことを考えたら一概に否定はしない。清の総理だった袁世凱が中華民国総統から「中華帝国」皇帝になろうとしたりした混乱の時期あったし、欧米の「チャイナ」と同源の「支那」であの地域全体を呼称しようとしたわけだ。ちなみに「チャイナ」「支那」の由来は秦であり、「コリア」の由来は「高麗」であり、「ジャパン」の由来は「日本」であり、欧米のアジア国名はなんだかずいぶん昔から変わらないのだなあと思ったりする。