ブルース・リー「死亡遊戯」って、もとのプロットと全く違うのな
1978年に公開された「死亡遊戯」という映画は、ブルース・リーが死んだために未完成のままになってて、代役を立てて完成させたと、当時宣伝されてたし、そうなんだーと思ってた。実際劇場に見に行って、まあストーリーの破綻とかもなく悪のボスを倒して終わりと、そこそこ楽しんだし、当時日本ではかなりヒットしたと記憶している。大体のストーリは以下のようなもの。
映画スターのビリー・ローが、やたらと俳優とかスポーツ選手囲い込んで暴利を貪るシンジケートの勧誘を断り続けてたら、撮影中に射殺されかける。顔に怪我を追ったものの命は助かるが、死んだことにして変装し、戦いを挑むというもので、敵の本拠(香港のビル)に乗り込むと、中は木造の妙に狭い作りで、階ごとに格闘家が守っている。これらを倒していき、最後にボスをビルの屋上から落として殺す。
ところが、もともとのリーのプロットは、主人公は俳優ではなく無敗の格闘家。家族を人質に取られ、韓国にある五重塔(各階を格闘家が守っている)の攻略を報奨付きで強制されるというもの。78年版では一人で乗り込む塔に、もとのプロットではパーティーを組んで挑むらしい。なぜ設定が格闘家から俳優になったのかというと、まるでフィルムが足りず、今までの作品から引用するためにブルース・リー本人を置き換えたビリー・ローという俳優にし、「ドラゴンへの道」や「ドラゴン怒りの鉄拳」を撮影しているシーン(と完成フィルム)を挿入することで尺をもたせたというわけだ。
なお、もとの設定では塔での戦闘は昼間だったらしく、サングラスの巨人、カリーム・アブドゥル・ジャバーが光に弱いという要素があり、リーが破った障子からさす光によろけ、そのすきを突いて倒すという展開があるのだが、ラストを夜にしたためか、このシークェンスはカットされている。
撮影当時のフィルムのOKカットをつないだものがのちに公開されている。
ジャバーを倒した後、よろよろと窓に近寄り
「ゲームは終わった」と叫ぶリーに対し、外から
「ゲームはまだ終わっていない。外に出て戦え」と声がかかる。
「無理だ!」と返すリー。階段を降りているとまた
「急げ、お前と戦うために敵が待ってるぞ」と声がする。
「今度は何だ?!」と叫ぶリーに
「このゲームは我々が死ぬまで終わりはしない」と返事が帰ってきてフィルムは終わる。サングラスの大男を倒した後上には登らないのだ。そういえば78年版で、この上に登るシーンから代役になってて声も顔も全然違うんだよな。ちょこちょこリー単独カットで本物を挟んではいるんだけど…
なんとも気になるが、この後どうなるのかさっぱりわからない。プロットではこのあと
- 逮捕
- 飛行機
と書いてあって終わっているらしい。本当の、ブルース・リーが作るはずだった「死亡遊戯」がどうなるはずだったのか、興味深い。