ヨーロッパ風異世界後宮物を読んでも畳の和室が頭に浮かんでしまう

「小説家になろう」などのサイトで発表されている作品で、中世~近世ヨーロッパ風の異世界での後宮が舞台となっているものがいくつかある。たとえば

ncode.syosetu.com

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といった作品である。この二作品はたいそう面白いのでオススメだ。それはさておいて、このような後宮を舞台とした作品の場合、読んでいてなんというか、側室たちが暮らす後宮のイメージとして、和室の風景が浮かんでしまうのだ。ヨーロッパ風の王室における後宮が想像できないせいか、どうにもこうにも大奥的な日本の時代劇風景に置き換わってしまう。よく考えたらヨーロッパの王室って、キリスト教の強い影響で建前上一夫一婦制が厳しく守られていたから、王の血筋を残すための側室という制度も、後宮というものもなかったのだ。もちろん王の愛人とか、公妾と呼ばれる存在はいて、ときに政治に大きく影響を及ぼすこともあったのだけど、基本的に王の子であっても正妻との間に産まれた子でなければ相続権がなかったので、「王の跡継ぎを確実に確保するための側室制度」とは違う。

 

なろう作品では後宮を主な舞台にしないものでも、「妾腹のため第一王子なのに相続権を持たないが、王子ではあり、王宮に暮らしている」とかいう設定もよくある。なんというか、「なろう風ヨーロッパ世界」が出来上がっているよなあと思うのだ。