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中世風ファンタジーで気になる白金貨

 毎度「小説家になろう」等のWeb小説ネタなのだが、これも一つのテンプレなのだろうけど、Web小説の中世風「剣と魔法の世界」において、大概の場合貨幣は銅貨、銀貨、金貨、白金貨が設定されている。金貨の価値は現代の日本円にして10万円程度とされていることが多いが、金貨の上に白金貨という貨幣があり、一枚で100万円とかそれ以上の価値を持つことになっている。作品によっては金貨の上が大金貨、その上が白金貨というパターンもあり、その場合白金貨の価値は1000万円以上。通常取引に使われることはなく、大規模な不動産取引などでまれに使われるくらいのレアな貨幣になっている。

 なぜそんな高額貨幣があるのかといえば、主人公は大概すごい戦闘力を持っていてそうそう狩れないドラゴンなどの上位モンスターを狩りまくったり、現代知識を生かした商品開発(リバーシなど)が大ヒットしてすごいお金を儲ける事になるためだと思うのだけど、ちょっと疑問なのは「白金貨」というものがどういう金属でできてるのか描写した作品があまりないことだ。字面からして白金、すなわちプラチナなのだろうかと思うのだけど、中世ヨーロッパ風世界の通貨として白金が出てくるとなにか違和感がある。現実の世界では、白金は古代エジプトなどで少数の使用例があり、南米などでも10世紀頃に装飾品に加工する技術があったらしいが、融点が高いため普通に溶かす火力がなかなか得られず、ヨーロッパで白金が加工できるようになるのは近代に入ってからだ。

 このてのファンタジー作品では、ミスリルオリハルコン、アダマンタイトといった希少な「ファンタジー金属」が登場することが多いが、これらが貨幣に使用されることは少なく、あくまで金貨より貴重な貨幣は「白金貨」なのだ。現実にもプラチナを使用した白金貨というものは存在するが、例えばアメリカのイーグル白金貨や、カナダのメイプルリーフ白金貨のように、額面に価格が印字されておらず、地金の価値で取引される物で、一般的な通貨として発行された物とは言えない。一般にこれらの白金貨は、金貨銀貨が本位通貨としてもはや用いられなくなった後の商品であり、きわめて現代的な印象を受ける。

 つまり、中世ヨーロッパ風異世界の通貨に白金貨というものが混ざると、そこだけ中世風でもファンタジー風でもなくなる気がするのだ。

 

 いや、最初の方で書いたとおり、「白金貨」が「白金」なのかどうかは謎なのだ。そもそも「白金貨」にルビを振っている作品を見たことがないので、読みも「はくきんか」「はっきんか」「しろきんか」どれだか判然としない。しかし、金、銀、銅が普通に現実のそれぞれに対応していると思われるので、やはり白金貨は白金なのだろうか。主人公も「え?白金?プラチナ?精錬できる炉があるの?」とか疑問に思って会話にでもしてくれれば、それへの返事から白金かどうか、白金を精錬できる技術があるのかなどの情報が明らかになって読者の方も安心できると思うのだけどなあ。