玉音放送のあとの解説放送はドラマで再現されないのだろうか

 昭和20年8月15日正午の玉音放送終戦を象徴するものとして数々のドラマでも流されてきたが、録音された昭和天皇詔勅部分だけを流し、登場人物が終戦をしるという形になっている。ただ、あの終戦詔勅というものは、当時の国民の殆どが聞いたことのなかった天皇陛下の肉声であり、また、独特の文語調の朗読であるため、あれだけを聞かされたとしたら、正直一発で理解できない人が多かったと思うのだが、大概のドラマではラジオの前で主人公が「戦争が終わった」と即座に理解するものだ。

 実際の放送は、正午に天皇陛下の録音を流した後、NHKのアナウンサーがあらためて詔勅を朗読、続いて鈴木貫太郎首相の内閣告諭、終戦決定の御前会議の内容報道、ポツダム宣言受け入れの説明、これまでソ連を通じて和平工作を行っていた事実といったかなり突っ込んだ内容が放送されたらしい。その後、映画「日本のいちばん長い日」で描かれたような8月9日から14日までの重要会議の内容を「緊張の一週間」と第して放送したらしい。ここまで聞けばそりゃあ聴取者は「あ、日本が負けたんだ」とその過程を含めて理解できる。というか、冒頭の天皇詔勅なんか忘れてしまうくらい濃い放送がなされた模様だ。

 残念ながら、昭和20年当時は、磁気テープのような録音装置はなく、使い勝手の悪いレコード板への直接録音しかできなかったわけで、前夜に録音された天皇陛下詔勅以外の部分は放送時に録音されてはいなかった。というか、放送を残すということが当時はまだ一般に行われていない。なので、当時を再現するなら音源が残っている玉音部分以外は各種記録から組み立てて録音し直す必要があるのだが。ドラマ等では別に新録で作ってもいいと思うんだよな。なんかもう、8月15日といえばノイズまじりの「耐え難きを…耐え、忍び難きを…忍び」流すパターンじゃん。そのあとも流そうよ。どんな放送がされたのか、各種記録から再構築してやってくれたらすごく興味深いと思うのだ。