写真フィルムはいつまで入手可能なんだろうか

 

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上の記事のように、デジカメが当たり前になった現代、趣味的にフィルムカメラにハマるという例はままある。

 

こういう趣味は多くの場合クラシックカメラのメカメカしさを楽しむことセットになっていて、新品カメラ需要にはあんまし結びつかない。カメラメーカー各社とも新品フィルムカメラは販売終了しつつあって、キヤノンニコンも1~2機種をモデルチェンジなしでほそぼそ作っている、あるいは在庫している状況だ。ハッセルブラッドやライカに至ってはフィルムの機種をラインナップしていない。(訂正:ハッセルやライカはまだちゃんとフィルムカメラ売ってました)

 

クラシックカメラが趣味として成り立つのはフィルムがいまだ容易に入手できるからで、すでにフィルムが入手できないベスト判などの古いフィルムを使う機種は暗室でフィルムを切って自分で巻いて使うなどの、とても大変なことになっているらしい。

もちろん、インスタマチックの126フィルムとか、ポケットカメラ用の110フィルムのように、随分前に消滅している規格もあるのだけど、135フィルム、いわゆる35mmフィルムと、120フィルム、ブローニーフィルムに関しては長い歴史とともに、「あって当然」なものになっていた。120フィルムはその面積の大きさからくる解像度の高さを活かし、スタジオ撮影や風景写真などに使われ続けたし、135フィルムは取り扱いの容易さで一般家庭で使われるスタンダードになっていた。しかし、徐々に販売終了品が

出てきており、いずれは入手困難になるのだろう。今や普通に写真を取るためにカメラを買いに行く一般人は普通にデジカメを買うし、デジカメ市場すらスマホに圧迫されている状態なのである。フィルム需要は減っていく一方なのだ。

 

特に120フィルムについては、単品パッケージの販売がもうリバーサルフィルムの一部しかない状態で、買うなら5本パック以上という感じになっている。まあ、あれは一本あたりの撮影枚数が少ないので、5本パックでいいのだけど。

 

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上の写真のカメラはFlexaret V。以前eBayで購入したチェコスロバキア製の二眼レフである。これでとった写真が

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こんな感じ。僕の写真は下手だが、四隅まできちんと映る良いカメラである。

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この写真は日本の4畳半メーカー、アルファカメラ製作所の二眼レフ、 COSMO FLEXで撮影したもの。周辺光量落ちがはっきり見えるが、まあいまどきのフィルムを使えばきちんといまどきの写真が出来上がる。

 

趣味として「あえて」フィルムカメラを使う場合、クロスプロセスや増感現像などを行ってザラザラした粒状性や不思議な色味を出したり、レトロ感を強調する事も多い。また、以前あったトイカメラブームは、要するに精度の悪いおもちゃカメラの歪みや周辺光量落ち、色収差によるにじみを一種のアートとして楽しむものだったが、そういうのもいまはインスタグラムのフィルターに用意されていたりするので、実際のところほんとにフィルムを使用する必要性ってあんましないんだよね。

 

でも、昔のがっしりしたカメラを手に持って、「カシャ」ってやって、現像してみるまでどうなるかわからないっていうあの感覚を楽しみたいのも確か。写せないカメラはただの飾りだし、カメラ持ったら実際に写真を撮りたい。そういうわけでフィルムの供給ができるかぎり長く続いてほしいものである。

 

おまけとしてのフィルム全盛時代の思い出

デジカメ普及以前、ヨドバシなどの大型カメラ店の1F入口付近は大量のフィルムを積み上げていたし、DPE受付窓口が横に長く広がっていた。それとは別にフィルムフロアもあり、フィルム、現像用品が大量に置かれていた。モノクロフィルムの王者的存在だったトライXは普通に買うと結構高いのだが、カメラ屋が長尺の缶入りフィルムをカットしてパトローネに詰め替えたものがノーブランド品として安く売られていたりした。それほどフィルム需要は多かったのだ。なにしろフィルム一本数百円で買っても12枚から36枚しか撮れないのだ。ただし、たくさん取ると現像、プリント料金がまた高くなる。24枚の同時プリントで千数百円とかしたのだから結構気を使うのだ。やがて比較的小さい同時プリントマシンが普及し、街角でDPE一時間仕上げとか、同時プリントの場合プリント代無料とかの小さなラボが林立する。さらに使い捨てカメラ(レンズ付きフィルム)が登場し、観光地ですぐさまカメラを買って記念写真が撮れるようになる。ほんの20年前まではこんな感じだった。そういえばデジカメ普及期に何度かデジタル使い捨てカメラのアイデアが出ていた記憶がある。当時は主に価格的な問題で無理があったが、今だったら1000円位でデジタル写ルンですとか作れるんじゃないだろうか。もっとも、スマホが普及してしまったので需要がないのだけど。