ニセ科学叩きがリンチになってないだろうか

かつて「と学会」が「トンデモ本の世界」を出して「トンデモ」という用語がある程度普及した。「トンデモ本」とは、「著者の意図とは異なる視点で楽しめる本」と定義されていたのだが、論理的には矛盾するオカルトや、どうみても正しくなりようがないニセ科学を大まじめに主張する本などが取り上げられ、「まじめにおかしなことを主張する」人々を嘲笑するような雰囲気があったのは否定出来ないんではないかと思う。ただ、基本的に出版物に対する評論であり、「活字による本を出すほどの人であれば全否定を含む辛辣な批評も受け止める度量はあるはず」という前提があったのではないかと思う。

また、大学や研究機関で研究したりレポート書いてるような人間なら、自分の説の何処かの段階でミスがあり、結論が台無しになるような指摘があった場合、すっきりはしないだろうがそれを認めて自説を撤回するのもやむを得ないと感じる経験があるかもしれない。

しかし、掲示板やTwitterFacebookなどのツールで、素人が自分の周囲の意見から「なんとなくなじむ」意見を組み立て、発表し、「いいね」とかもらってる言論空間に「標的発見」とばかりに集団で攻撃を仕掛けるとしたらどうだろう。当人は「突然集中砲火的に批判が寄せられ、憎悪に囲まれてる」と思うのではないだろうか。

もちろん批判側は集団で示し合わせて攻撃を仕掛けたわけではないのだが、批判を受ける方はそうは見ないだろう。なにか想像を絶する上位機関が自分の意見を抹殺しようと集団攻撃を始めたと思うだろう。

現代のインターネット社会は、必ずしも十分な情報リテラシーのある人が十分に自己責任を自覚して意見を投稿する世界ではない。友達同士や居酒屋談話的な、「おれの友だちだったらわかるだろ」的な話をつぶやきまくってる世界である。そこでニセ科学的だったり非論理的だったりする意見を見かけたときにどう反応すべきなのか。僕はいまだこうすべきという答えを持っていない。反論する場合もあるし、控える場合もある。

どうしたらいいんだろうね。