「税金泥棒」と叫ぶ人たちは国家の代弁をしているのか

【五輪】「税金泥棒!」選手を罵倒するメダルキチガイ達 - Togetterまとめ

このような罵倒はまあ、観客としての立場での無責任な野次にすぎないとも思えるのだが、成績を出せなかったオリンピック選手を「税金泥棒」とか「国費を返還してもらいたい」とか言う時、多分「自分の払った税金が無駄遣いされた」と具体的に考えているわけではないと思う。「えーと去年払った所得税がいくらで、このうち、おお、なんと俺の金10円くらい使って成果出せなかったんだ」とか思ってないでしょ。(実際平均的な庶民の支払う税金に対するオリンピック予算の割合を計算したわけじゃなくててきとーに10円と言っただけです)

生活保護なんかでも「血税を使ってのうのうと暮らしてる」みたいな事が言われることがあるが、やはり血税と言っても自分の実際損した額を考えているわけではないと思う。

こういう発言をする時、人はなんとなく国家と一体化してるのではないかと思う。国家の立場になって、税金の使い道が不正だと言っているのだ。してみれば予算配分した国家そのものを糾弾するのではなく、予算を支給された立場の五輪選手や生活保護受給者を叩くのも納得できる。

国民が税金の使い道を監視するのは正しい、だけどその対象は国家であって、国家が決定して税金で得た予算を支給した先の個人ではないはずだ。民主主義的に言うならば、国家は国民の代表によって運営され、その国家の行動を国民が監視する、国家と国民は依存しつつ相互の利益を最大化すべく対決する関係にある。国民が国家の立場と同一化し、国家を代弁するのはなにか落ち着かない気持ちになる。あまりに左翼臭くなるので言いたくはないのだが、全体主義に転落する危険をはらんでいるのではないか?