雨漏りコントの衰退

www.youtube.com

 「8時だヨ!全員集合」や「ドリフ大爆笑」などの番組で、雨漏りコントは定番ネタだった。雨が降り出すと家の中のあちこちに雨水が落ちてきて、そこにタライ、バケツ、鍋などを次々置いていく。それぞれ「カン」「ピチャン」「コン」などと音がしてどんどん賑やかになっていくというもの。このネタはバブル時代以降ほぼ見られなくなっていく。

 

 おそらく民家の屋根が老朽化して雨漏りが起きるという事態が、リアリティを感じられなくなったということなのだと思う。家の中で何箇所も雨が漏れてきて、それをあわてて受けるみたいな状況。もちろんコントだからおおげさに描かれているのだけど、あれは1970年代にはそこそこ見聞きする話だったのだ。僕の話をすると、まさに1970年代我が家の茶の間で、雨漏りをタライや鍋で受けていた経験がある。我が家は大正8年に建った瓦葺平屋であり、戦前は地主でそこそこ儲かってたが、戦後の農地解放後祖父がいろいろな事業に手を出すも没落し、家を修繕するのも難しい状況で半端に広い家屋を抱えていた。なのでまさに小学校入学の頃はコントのような雨漏りを体験したものだ。

 

 親父が一念発起して屋根職人を雇い、瓦とトタン部分の葺き替えをしたため、小学校中学年以降は雨漏りのない生活を実現できたのだが、この工事中、屋根職人見習いの若者がすげえ音を立てて屋根から転がり落ち、途中で端をまるめていないトタンを掴んだせいで手のひら血まみれになってタライにいれた水で手の血を洗っていた記憶が残っている。

 

こういう、なんてことない昔のコントから、日本の歴史を垣間見るというのもおもしろいんじゃないかな?