Kiwi:68008+V9990+SID音源×2という「あの頃ほしかった系」コンピューター

f:id:juangotoh:20170709105210j:plain

www.ist-schlau.de

 

 以前たまたま見つけたドイツのサイトだが、自作コンピューターの説明と販売を行っている。販売ページを見ると、基板と部品のセットで€333.33。ただし追加部品がいくつか必要になる。基板には表面実装LSIのみ実装済みで、他のものはすべて自分ではんだ付けする必要があり、まあそれなりに覚悟がいるキットだ。このコンピューター、なんとも「あー、昔こういう仕様のパソコンがあったらよかったなあ」的なスペックなのである。

 

CPUが68008

 モトローラの16ビットCPU、68000の8ビットバス版。これはできたら8ビットバスバージョンじゃなく、完全な68000であってほしいところだけど、自作となるとこの辺が妥当なところか。とにかくm68kアーキテクチャである。フラットな4MBメモリマップが使える。ホビーパソコンとしてこれはうれしい。

 

VDPがV9990

 あの、MSX3用に開発されたV9990 VDPである。開発の遅れから、実際には採用されず。これが使われたパソコンは存在しない。なのでカーナビとかパチンコ用に使われたらしい。VGA解像度で家庭用テレビに出力でき、32768色発色。MSX2+やturboRのV9958より格段に高速。

 

音源がSID×2

 コモドール64で使用されたSID音源を二個搭載。欧米のチップチューンでいまだ人気の音源チップである。まあC64が流行らなかった日本から見ると、ヤマハFM音源チップとかの方がうれしいけど。

各種インターフェース

 RS232C、パラレルポート、PS/2キーボード及びマウス端子、ATARI方式のジョイスティックポート、IDE/ATA ハードディスク&フロッピーインターフェースを装備。EPROMにIDEからのブートローダを格納している。グラフィックを扱えるBASICも用意しているようだ。

 

雑感

 MSX好きにとっては、V9990搭載というのがすごい魅力的だ。RAM 4MBは現代のパソコンから考えると少ないが、Macintosh Plusの最大メモリが4MBだったことを考えると十分である。適切な開発環境を整えることができれば結構使えると思う。ちなみにVRAM512KBはメインメモリとは別に確保されている。

 €333.33という価格は、おそらくApple Iの$666.66を意識していると思われる。ギャラリーページを見ると、この作者、スティーブ・ウォズニアックに会いに行ってるようだ。

 基板と部品のセットには、メモリとSIDチップが含まれておらず、これは別売りになっているが、SIDに関してはSIDのICパッケージサイズのボードにマイコンチップを乗せたエミュレーションボードであるNano SwinSIDがラインナップされている。C64の音源であるSIDは部品単体で入手が難しいこともあってこういう代替品が作られているようだ。

 

デモ動画

www.youtube.com

有名なAmigaのデモを移植したもの。

 

www.youtube.com

2Dアクションゲーム。