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無印良品はかつて無駄を省いた安さを追求したブランドだった。

歴史 雑談

 もともと無印良品というのは、西友プライベートブランド開発企画からはじまって、ノーブランドを和訳した「無印」をそのブランドに採用したものだ。デザインやパッケージに気を使わず、その分値段を安くが合言葉で、今でも使用されているベージュのラベルにシンプルな赤線と黒字で、一般名詞の製品名を記述するアレは、無漂白の紙を使ってコストを下げていますという印だった。分厚いメモ帳なんかも漂白されてない、ほとんどわら半紙みたいな紙を使っていた。鉛筆で線を引くと穴が空くような代物だった。

 当時の無印らしいアイデア商品にU字形のパスタがある。普通のスパゲッティに使う乾燥パスタを製造する際に折り返す部分。切り落とされて廃棄される部分を袋詰めにしたものだ。もちろん短いので、普通に茹でてパスタソース絡めて食おうとしても食いにくい。安いけどちょっと困る商品だった。

 また、一人暮らしの若者がワンルームで収納不足に悩んでた時代、トイレットペーパーの芯を30㎝に延長したような紙パイプと正方形の天板をプラスチックのジョイントで接続して好きな段数、好きな幅にできる紙製ラック部品をバラ売りしたりしてた。これは意外と安くて頑丈ないい商品のようだが、所詮紙なので、数年そこそこ重量のあるものを載せていると歪んでしまう。

 詰め替え出来るボックスティッシュというものも売っていた。何の印刷もない無地のティッシュ箱の一方が開閉できるようになっていて、そこに中身だけ5個ほどビニール袋にまとめて売ってるティッシュペーパーを突っ込むというものだ。ティッシュ箱は普通の紙製だったので、5回も入れ替えるうちにへろへろになり、あまり使い勝手の良いものではなかった。ドラッグストアがティッシュ五個パックの安売りを始めると、値段でも負けることになる。

 値段で負けるといえば、1980年代には5000円以上した120分ビデオテープを「包装を簡易にして」3000円くらいで売ってたが、ビデオテープが家電量販店を中心に恐ろしい速度で値下がりし、一本1000円で買えるようになった頃にも、まだ3000円だったので、ちっとも安くない商品になってしまっていた。

 

 つまり1980年代から1990年代の無印良品は、正直「安かろう悪かろう」に非常に近い位置にいた。あからさまな不良品とかはなく、製品の品質自体はさほど悪くなかったのだが、なんというか「微妙」って感じ。

 

 だが、当時も常に「シンプル」を通した製品デザインは悪くなかったし、当時の西武セゾングループのおしゃれなイメージもあり、都会でシンプルな無印を使うというのは、なんかおしゃれな若者文化みたいな雰囲気を出していた。そのうち「値段じゃなくてシンプルデザインこそ無印の強さ」と気づいちゃったんだろうね。無印良品からあからさまな安価狙いの商品は姿を消し、むしろ「若干高いけどオシャレだからいいよね」路線に移行していった。真っ白でむやみにカクカクした家電品を独自開発したり、MUJIの名で海外進出したり、最近はすっかり高級ブランドである。まあそれはそれで良いことなのだろう。でも、あのシンプル路線がもともとは「値段を抑える」という目的であったことをちょっと今時の人たちにも知っていてほしいなあと思ったりする。