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ファンタジー作品における冒険者ギルドとは一体なんだろう

前回の記事で「小説家になろう」で面白かった作品を並べてみたが、その多くが魔物とかがいて魔法とかがあるファンタジー小説で、転生や転移した主人公が活躍する舞台として「冒険者ギルド」というものが設定されている。こういう作品における「冒険者ギルド」とはなんだろうか。

 

日本から転移してきた主人公はもともと舞台となる世界の住民ではなく、身分を証明するものがなにもない。

多くの場合主人公が向かう町は城塞都市であり、町の門で身分証明が必要になる。ただし、もともと中世風な世界なので身分を証明する手立てがない現地人も多く、そういう場合の手続きは用意されている。

城門で一時的な滞在許可を出し、一定日数を超える滞在ならまた手続きが必要になる。冒険者ギルドに冒険者登録するならば、ギルドカードが発行され、それが恒久的な身分証明になる。

ギルドカードには冒険者の名前やレベル、作品によっては討伐した魔物の情報なども記録されるようになっている。そういう自動記録系の機能が付いている場合、カード自体が高価な魔道具であるという設定があることが多い。

そのため、冒険者ギルドでの初回登録は無料であるが、ギルドカード紛失の際の再発行は日本円換算で10万円とかの結構な高額になっている。ただし、僕が読んだ作品の中で、実際にギルドカードを紛失して高額な再発行手数料を支払った作品はない。この高額な再発行手数料という設定はなぜか使われないのに存在する謎設定である。

多くの作品で冒険者ギルドは国からある程度独立した権限を有しており、国をまたいでの身分証明が可能。また、魔物退治などで得た金はギルドに預金が出来、遠隔地のギルドでも引き出せる。

 

冒険者にはランクがあり、殆どの場合ABCといったアルファベットの等級が割り振られる。A級の上にS級とかSSS級とかが存在するが、S級以上の冒険者は世界でも片手で数えるほどしかいないってのがお約束。ギルドで冒険者登録する際は主人公がどんなチート能力を持っていても最下級(G級だったりF級だったり)から始まり、自分のランクに見合う依頼しか受けることが出来ない。最下級の依頼は薬草取りや町の溝さらいといった地味なものだが、安全な野原に薬草取りに行くとなぜか上位の魔物が現れ、これを討伐して「F級なりたてのガキが一人でがブレードボアを退治したって!?ありえない!!」などと話題になってしまう。

 

ギルドの建物で先輩冒険者の新人イビリにあい、これをあっさり撃退するのもお約束。

冒険者のたまり場という設定上、酒場が併設されていることも多い。

 

ギルドは依頼報酬を出す他に魔物の素材を買い取っている。魔物の皮とか角とか牙とかは武器防具の素材としてやたら高価で売れる。また、魔物の体内にはだいたい魔核とか魔石という魔力の源があり、これも高価で売れる。

最近の作品では魔物の肉は美味いという設定がつくことも多く、豚っぽいオークの肉が美味いのがデフォルトで、さらに高レベルの魔物ほど美味いという設定が加わり、ドラゴンの肉なんかもうすごいレア食材として珍重されたりする。なわけで肉も買い取る作品が結構多い。個人的にはヒューマノイドタイプの魔物、オークやコボルトの肉を食べるという設定は抵抗を感じるのだが、多くの作者さんは気にしてないようだ。

 

主人公は大概レアで強力な魔物に出くわすので、高価な素材を得る機会が多く、だいたいの作品で一年もしないうちに大金持ちになり、王都に庭付き一戸建てを購入し、せいぜいお湯を買って体を拭く程度の世界で浴室を作り、日本文化の毎日入浴を実践したりする。

という具合に、異世界転移物の作品において「冒険者ギルド」は非常に都合の良い設定なのだ。

 

しかしこの「冒険者ギルド」、作家のみんながごくあたりまえの存在として作品に取り入れてるが、ふと考えるとそれほどあたり前の存在には思えないのだが、そもそも由来はどこにあるのだろう。

 

ギルドで出会った人とパーティーを組んで冒険するパターンも多いのだが、そういう仲間を得る冒険者のたまり場という設定は、ウィザードリィの「ギルガメッシュの酒場」、ドラクエ3の「ルイーダの酒場」あたりが由来になるだろうか。しかしこれと「なろう」で多用される冒険者ギルドの間には随分と差があるように思える。

 

アニメ化された「オーバーロード」においては、まさにこういうギルドが登場するけど、これそもそも原作が「なろう」発表の小説だし。

 

MMORPGなどにおける「ギルド」は趣味の合うプレイヤー達が結成するグループにすぎない。上述の「オーバーロード」ではランク分けされた冒険者を登録する冒険者ギルドが登場するのはゲームに似た異世界に転移した後で、それとは別にMMORPG時代のグループであるギルド、アインズ・ウール・ゴウンが存在するという、少々ややこしいことになってたりする。これも「ギルド」というものの不思議さを表してると思うのだが。

 

都合いいよね、冒険者ギルド。僕もいずれおっぱいの大きい受付嬢がいる冒険者ギルドで、元S級冒険者のギルドマスターを驚かせるような作品を書いてみたいものである。