アーケードゲームはアーケード商店街のゲームではない

コインを入れて遊ぶような業務用ゲーム機を一般に「アーケードゲーム」と言うが、この呼び方、なんか不思議に感じたことはないだろうか。

「アーケード」というのは、アーチなどで覆われた通路で、一般に商店街などに見られる。というか、日本だと商店街の通路にプラスチックなどの透明もしくは半透明な屋根をかけた「アーケード商店街」の形式でしか知られていないと思う。あまりゲーム機のイメージと結びつかない。

 

で、欧米における「アーケード」の用法だけど、店が通路に沿って並んでるアーケードから、催し物の夜店的な食べ物屋や、射的、輪投げなどが並ぶ状態とかもアーケード(アミューズメントアーケード)と呼ばれるようになって、ピンボールやらその他のエレメカやらのコイン遊具が並んだ場所を、一般に英語で少額コインを表す「ペニー」をつけて「ペニーアーケード」と呼ばれるようになったわけだ。「ペニー」って英国の貨幣単位なのだけど、アメリカなどではセント硬貨をペニーとも呼ぶらしい。

なので「アーケードゲーム」はビデオゲーム以前から、こういった「アーケード」に置かれる遊具の総称として存在したわけだ。

ちなみに、「催し会場」という意味での「アミューズメントアーケード」には「ミッドウェイ」という呼び名もある。ビデオゲーム初期によく見かけたアメリカのミッドウェイ社は、もともとエレメカピンボールの大手メーカーだった。

 

ところで、業務用ゲームに対し、家庭用ゲームを「コンシューマーゲーム」というが、この「コンシューマー」は「消費者」という意味の英語である。通常、業者しか買えないアーケードゲームに対して「一般消費者が購入するゲーム」というわけで、まあなるほどと思うのだが、これ和製英語である。英語では「コンソールゲーム」、家庭用ゲーム機を「ゲームコンソール」と呼ぶ。この「コンソール」は語源的にはコンピューターの制御卓、コンピューター端末を指す言葉である。MS-DOSのconデバイスなんかもこれが由来である。家庭用ゲーム機を「ゲーム端末」などと表記する場合があるが、これは英語の「ゲームコンソール」を訳したものだろう。