Minecraft動画の金字塔「地上なんてなかった」

てりぃ氏のこの動画は、マインクラフト実況動画である。マイクラの動画は非常に人気があり、面白おかしいもの、素晴らしい物が多数あるのだが、その中でこの人のプレイ動画はかなり特殊なのだ。

この「地上なんてなかった」シリーズは「縛りプレイ」と呼ばれるジャンルに属すると言っていいと思う。「縛りプレイ」は、ゲームをやる上で、よりクリアを難しくするためになんらかの要素を使用しないなどの制限をかけるものなのだが、なんというか、単純に「縛りプレイ」にはおさまらない凄みを感じる。

 

マインクラフトというゲームは、最初プレイヤーは何も持たずランダムに生成された地上に放り出される。そこで最初にやらなければいけないのは木を切ることだ。なぜなら木はあらゆる道具のもとであり、素手で採取できる数少ない資材だからだ。ところがこの動画は、ゲームが始まったらひたすら地面を掘ってゲームにおいてそれ以上下に行けない「岩盤」まで到達し、以後貴重なダイヤモンドを1500個集めてレベル4ビーコンを作るだの、裏ボスのウィザーを倒すだの、想像するだに気が遠くなる目標を掲げるのだ。

 

いきなり地下深く掘り進んで活動するのだが、当然地上に生えている木を切れない。必然的にほとんどあらゆる道具が作れない。そのままでは石も鉄も、もちろんダイヤモンドも採取できないのだ。たいまつも作れないので真っ暗である。地下深くではほとんど石なので、掘り進むのに凄まじい時間がかかる。しかも素手でほっても石材一つすら手に入らない。なのでとにかく最初に「木材」を地下で入手することが第一目標になる。マイクラでは地下にランダムに廃坑が生成され、そこには木材があるのだ。てりぃ氏は廃坑がどの深さにどの程度の頻度で生成されるかを予測し、それを目指してひたすら掘る。動画の前半はそんな感じで真っ暗な中を延々素手で掘り進む展開が続くのだ。どう考えても三話も見続けられない退屈な作品になりそうなものである。

しかし、仮説と検証に重きをおいて、淡々と計画を立て、それをこなしていく様は見ていて飽きない。BGMやゆっくりボイスの掛け合いもなにか爆笑系ではなく落ち着きがあって心地いいのだ。数日ごとに更新され、ついつい続きを見てしまう。

 

第一話が登録されたのが2013年11月29日。最終139話が登録されたのが2015年1月30日。一年以上にわたって更新され、見事に全目標を達成した。なお、現在彼は新作「高さ縛りのマインクラフト」を更新中である。こちらも面白い。