ヨルダンのフセイン前国王はアマチュア無線家だった

前の記事でちょっとだけ触れたが、1970年代にアマチュア無線やってた人には有名なのだが、当時のヨルダン国王フセイン1世はアマチュア無線家だった。

 

そもそもアマチュア無線という趣味自体(いまでもあるけど)なんだかよく知られていないと思うのだけど、要するに放送や営業と関係なく、個人の趣味で無線通信を行うものだ。その目的はどちらかというとコミュニケーション目的というより技術的な実験であって、電話のように特定個人と番号でつながるようなものではなかった。アマチュア用に許可された周波数帯をサーチして発信してる人がいたら応答するという、ほんとなんのために通信するんだかよくわからないものだったのである。太陽黒点の影響などで電波の伝わり方が変化して、普段繋がらない地域と通信できると大喜びで通信して記録を残す、というようなものだった。むしろ、実験以外の実用コミュニケーションはアマチュア業務の範囲外であって、やるべきでないものだった。遭難や災害で緊急通信を行った場合、そのあとで管轄する地方総合通信局に報告する義務があったり、めんどくさいものだったのである。

 

アマチュア無線に使用される周波数帯は、国や公共機関、営利団体が使っていないものを割り当てられているのだが、その中でも短波帯は電離層で反射して遠くまで届く。中でも14MHz帯は第四級から第一級まであるアマチュア無線技士免許のうち第二級以上という、かなり難しい試験を通った人たちが使えるバンドで、このへんはほんと遠距離通信が可能なエリアなのだ。ヨルダンのフセイン国王はこのへんによく出ていたらしい。ちなみに1970年代の日本ではアマチュア無線の級は現在の四級から一級ではなく、電話級、電信級、二級、一級という区分だった。僕は電話級という最下位の免許しか持っていない。

 

アマチュア無線で通信した場合、お互いに希望すればQSLカードという、通信したことを証明したカードを送りあう。自分のコールサインや、画像をあしらった葉書を交換するのだ。考えてみてほしい、ただの日本の庶民が、中東の王様と交信して、サイン入りの葉書をもらえるのだ。面白いよね。フセイン国王のQSLカードアラビア語で「親愛なる我が友へ」と直筆のサインがあったそうだ。いいよなあ。

 

なお、息子さんのアブドラ国王はアマチュア無線はやってないらしい。