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ニセ科学と政治的傾向

かつてソ連においてルイセンコ学説が有力になり、メンデル遺伝学を正しいと思うものは排斥された。メンデル遺伝学は、あくまで子の形質は親から遺伝するものであるのに対し、ルイセンコ学説が獲得形質遺伝説であり、労働者が努力すれば社会が発展するというマルクス主義的な思想に合っていたためである。

 

科学は本来思想とは関係なく検証される作業なのだけど、人は自分の思想に合った説を選びがちだ。

 

親学や江戸しぐさといったものは、早い話昔の日本(実際の過去の日本ではなく想像上の理想化された日本)を良いものとし、現代の諸問題をそれを忘れたからだとするもので、医学や歴史学から批判しか出ない素人仮説なのだが、保守系政治家にはウケが良い。

食品添加物を過剰に恐れ、無添加、無農薬にこだわるのはどちらかと言うと市民運動家や、リベラルですこし生活に余裕がある層に多い。これは少し追加のお金を払う事で安心を買っているのだ。実は必ずしも無添加、無農薬のほうが安全とは限らないのだけど。

ワクチン否定や、がん治療否定というジャンルは、大企業や政府を信用しない人々の層が存在し、製薬会社や医者が、患者を作って儲けるために無意味もしくは有害な治療を行っているという陰謀論になる。

牛乳有害論、白砂糖有害論、肉食有害論、さらに玄米菜食こそが健康的と主張するマクロビオティックなどは、欧米的な食文化を否定し、日本食を特に優れたものとして保守層に人気がある。また、大企業否定、贅沢否定の文脈で左翼的な運動にも人気がある。

現在出荷されている福島の食品を食べても、殆どの場合バナナ一本食べるカリウム40の被曝ほどにも達しないが、反原発派の人たちの一部は「食べたら死ぬ」とばかりに忌避している。それに対して反論すると工作員とみなされる。彼らはバナナを二本食べようとしたら必死で止めるだろうか??

学説の正しさよりも、思想や運動に有利かどうかで選んでいないだろうか??