モノクロ専用デジカメとは

少し前に、被災地の女子高生にライカがMモノクロームを進呈というニュースがあったけど、「モノクロ専用で120万円もする高級カメラ」という点を不思議に思った人も多いのではないだろうか。120万円もするのはライカだからとしか言いようがないが(笑)、モノクロ専用にしてなにかいいことあるんだろうか。いまどきのデジカメはモノクロにしたければ撮った後に好きなだけ加工できるし、モノクロ、セピア撮影モードとか装備している機種も多いわけで。

実のところ通常のデジカメ用イメージセンサは、本来光の強さ、つまり明るさを記録するもので、色の違いを記録することはできない。そのためセンサーの前に細かく格子状に赤、青、緑(またはその補色)といったカラーフィルタを配置し、ある画素は赤の強さを、隣の画素は青の強さを、下の画素は緑の強さを記録するというようにしている。なので実際に記録されるものは、赤青緑が並んだ市松模様みたいなものになる。で、ひとつの画素に三原色の情報を集めるため、周りの画素の情報と混ぜあわせてカラー情報を完成させる。つまり最低3つの画素を混ぜちゃうので画像はぼやけ、1800万画素のカメラと言っても、600万ピクセルのカラー画像を3倍に引き伸ばしたような絵になってしまう。たとえモノクロモードにしても、こうしてぼやけてしまった画像をモノクロに変換するので、ぼやけたままだ。

で、カラーフィルターを排除して、モノクロ専用にしてしまえば、周囲の画素情報を混ぜあわせる必要がなくなり、カラー機種に比べて画像がよりくっきり精密に記録できるというわけだ。フィルターを通すと光の一部をカットすることになるので、これがなければ感度も上がる。

というわけで、モノクロ専用デジカメはカラーに比べ、高感度で実質高解像度にできるという利点があるわけだ。