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デジコミツールズについて

昔僕が作ったPhotoshopプラグインにデジコミツールズというのがある。早い話漫画を描く際に便利な集中線や流線を簡単に引けるツールだ。

開発は2002年とかそんくらいで、いまの環境ではいろいろと厳しいことになっている。例えば64bit版CS4では動かない。MacではそもそもOSXに対応していないといったありさまで、こまったものである。

実はPhotoshopのプラグインSDKは意外とよくできていて、Photoshop2.5の時代からさほどの変化もなく、プラットフォームの大きな変化があってもおおむねコンパイルしなおせば動くのだ。

なぜ更新をさぼっていたかといえば、実際僕がもはやほとんど使っていないからで。モノクロの漫画を描く際にはコミックスタジオを使用しているのである。ほんとはこっちでデジコミツールズを使いたいのだが、セルシスは公開された形でプラグインAPIとか示していないので、なかなか移植もままならない。コミックスジオには組み込みの集中線、流線機能があるが、これがクオリティもいまいちで、パラメーターが多すぎ、非常に使いにくい。リサーチで得られた「必要な機能」を何でもかんでも詰め込もうとするとああいうUIになってしまう。GUIというのは引き算なんだけど、足し算でやっちゃってるのだなあ。

流線の本数を設定する必要がどこにあるのだろう。プログラムから見れば引く数が決まらなければどうしようもないし、最低限必要な数が決まっていれば速度も稼げるのだが、使う方からしたらそんな本数なんて漫画家が考えるところじゃないよ。「画面にこんくらいの密度で、ここからここまで引く」というのが漫画家の思考。これを生かすUIにしないといけない。デジコミツールズでは選択範囲を覆う矩形範囲の対角線よりすこし長い距離に流線を並べ尽くすに足る本数を計算して描画している。それが殆どの場合ベストな数だ。

てなわけで不満は多いのだが、PSDに書き出してからPhotoshopで集中線や流線を引くのもまた手間が増えていやなのだ。そういうわけで不満を感じながらもコミックスタジオの機能を使っているのである。

それはさておき、ちと各方面からの要望もあってデジコミツールズを現在の環境で動くように更新する作業をすることになっている。実際のところWindowsでは問題なくコンパイルできている(この何年もの間にコンパイラの振る舞いも変わっているし、以前はOKだった記述がエラーになったりで、相当手を入れて入るが)。問題なのはMac版だ。現在Photoshop CS5の情報が出始めており、来年にも販売されるのはほぼ明らかなわけだが、CS5は例のCarbonの64bitやめた事件によってCocoaで書きなおすと言うとんでもない方向に移行せざるを得なくなっている。別にPhotoshopがCarbonで動こうがCocoaで動こうが大した問題じゃないと思うだろうが、これは確実にプラグインの動作に影響を及ぼす。

もともとPhotoshopのプラグインと言うのは、基本的にMac生まれなだけにClassic MacOSの作法で書かれている。メモリ操作はHandleとかPtrだしPascal修飾子がエントリポイントの頭についてたりする。まあ、そういう記述上の問題はSDK内部で処理してくれるだろうが、おそらくCarbonプラグインをCocoaアプリケーションは利用できないだろう。つまりCS5が出た時点でCS4までのプラグインは動かなくなることが予想される。
http://miyalog.blog.so-net.ne.jp/2008-04-04_PhotoshopCS4
こちらの記事を見ても、Photoshop本体とプラグインを書きなおさないといけないとなっている。

ところでデジコミツールズはそもそもOSXに対応していないと書いたように、現状CS3やCS4で動くバージョンは存在しない(以前試験的にコンパイルして動くものを作ったことがあるが、これは世に出していない)。CS5にあわせて出すにしても、CS4以前でも動くものを同時に開発しなければいけないのである。ユニバーサルバイナリにCarbonとCocoaをまぜこぜにできるのか、ちょっと最近のMacから遠ざかっているのでよくわからないけど、無理なら結局二つのバージョンをリリースする必要が出てくる。

結構なんぎだなあ。